「儀式」によせて/
フユナ
せて
ああ
わたしはもう
人は弱いものを食べて
生きているのだなどとは
言うまい
決して言うまい
となりにいる美しいおとこが
何度それをくちずさもうとも
嬉しいのだ
そう、私たちは嬉しい
上に重なったオスの頭が
あんぐりと口を開けている
弟が
打ち上げられた鯨のニュースを
痛ましそうに見ている
洗い流したはずの血が
白いふきんをくすませている
嬉しいのだ
そう、私は嬉しい
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