「儀式」によせて/フユナ
 

二匹の鮭が
内蔵を捨てられ
切れ端をからませていた
私の手はまだ薄いが
母の手は血にまみれている


頸骨ははさみでぶち切り
卵と白子は引きずり出した
その度にあがる、歓声
嬉しいのだ
そう、私は嬉しい


石垣りんの詩に
「儀式」という一編がある
母から娘へ教えることは
丸々一匹の魚の首を落とすこと
この骨の手応え
血のぬめり


  

(私たちがどうやって生きてきたか
   どうやってこれから生きていくのか)




私はあなたと
ここで初めて
何を産んだのだろうか
手慣れた産婆と、その助手のように
諸手を血で光らせて
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