にわか雨/蒸発王
 
から

彼が殺されたと聞いて             血が止まらないと分かって

本当に憎たらしく思った            本当に悔しく思った


華も持たずに                 あお向けに転がって      
墓石に駆けつけて               夜空に吐息を飛ばして

墓石を思いっきり               鉄の味のする唇と
蹴りつけて                  呼吸器官を動かして

『甲斐性無しめ』               『ごめんね』 
                             

               笑った


             息が切れるまで      
               ずぅっと
              笑ってると



塩辛い

にわか雨が降り始めた


だって


晴れてるのに

ほら



顔がぐっしょり




濡れてしまっているんだから}





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