星葬/蒸発王
 
のまま星になれば良いのに


ちらっと願い




離れて
行ってしまった
夫に

夫を奪っていった
冷たい宇宙に

私を暖かく包む
この
鋭利な闇の匂いに



鼻の奥が
痺れて


蒼い眼球から
小さな海が飛び出した


海は
無重力の中
星の形を作り




其れは
人間の故郷と
似ていた


さようなら
私は
まだ
還らないから

待っていて



帰ろう


涙に似た
あの星へ



帰ろう






戻る   Point(1)