光/雪井世良
気が付けば あたり一面 光
影ができないように
四方八方から 光が監視する
光と影は ひとつの空間を共有するものなのに
影はその場を追われて
奥へ奥へと 追いやられる
光をあてながら こう問うのだ
「あなたは平和か」
「あなたは愛か」
そうしていずれ
光に強制された者たちの世界になる
敵は誰もいない 皆 平和を演じる
追いやられた影は
扱われることもないまま
突如の暴走を繰り返す
憎み方を知らない
憎まれ方も知らない
不自然な微笑みが 無表情の怒りが 溢れる
昼が来て夜が来る
けれども 夜にも人工の光を溢れさせようとする
恐怖への敏感さ故に 不自然になっていく
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