入水/しゅう
沼と知りながら踏み出していく
黒の木々に包まれて、こどく、と声に出した
錆びついた獣の香り
時の止まる道路
ゆがんだアスファルト
見つめていた地平-----------------届かない風景
信じながら歩むあたしのくるぶしに
なにとも言えない、ああ、何か、触れている!
からっぽの、熱も、時間もない、何かということもできない
幼さはとうに飲み込んだはずでした
じわりと滲みた沼の水が
心臓を抱きしめ
それでも見逃すものか、かっと見開いた目を
溺れる自分自身に向けていく
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