落日セブンスター/大覚アキラ
この季節は
いつもからっぽだ
おまえがいなくなってから
からっぽになってしまったんだよ
今日みたいに
よく晴れた秋の日の夕方
公園のベンチで
ぼんやり吸う煙草は
すこしだけ
冬の匂いがするんだ
そして
おれはおまえのことを
また思い出してしまう
おまえの好きだった
セブンスター
おまえの好きだった
冬の匂いの煙草だよ
なあ
おまえもそこに座って
一本吸っていけよ
別に用事なんかないだろう
時間なんていくらでもあるさ
せめて
煙草一本吸うあいだ
おれとちょっと話をしようぜ
ついこのあいだまで
真夏だったのに
先週デパートに行っ
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