鈴虫がないている/
 
玄関のドアを開けたら
鈴虫がいた

小さい頃の歌 思い出す

リンリンリンリン リィンリン

鳴くのを待って
じっと見つめる

鳴かない
睨み合う

僕が負けて
歩き出す

鈴虫も一人では 歌えないのかもしれない



用を済ませて戻ってきたら
鈴虫がいる

僕は首をかしげ
部屋に戻る




眠る前
忘れた頃に
遠くから聞こえてくる

鳴いている
泣いている

リィン リィン リィン

悲しそうに
力強く
鈴虫がないている

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