10月の風は/
ゆきお
ここは寒いから
そろそろ家に戻りましょう
そう言って肩を抱いた
あなたの手が触れている部分が
やけに熱く感じられた
10月の風は少し冷たく
新しいジャケットのボタンに
夕焼けが川原で遊んでいる
女の子の持っている
鏡と反射して
やけにまぶしかった
さようならの言葉が
胸に残ったあの川は
すこし少なくなった流れが
あのときの私の涙のようだった
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