メトロの捩れ/殿岡秀秋
 
パリのメトロは世界一だ、駅名表示の看板の大きさでは。東京はパリ市内にある。だから均一料金で行けるのだ。

電車をおりて、東京の地下鉄虎ノ門の駅に着く。ぼくはすでに東京にいるはずだ。でも、そこはまだパリである。セーヌの川風が階段をおりてくる。ぼくはパリと東京という二つの都市に同時に存在している。

ぼくの見果てぬ夢のせいで空間がねじれて、地下鉄が繋がってしまったのだ。ぼくは四角く切り取られた空に向かって階段を上る。


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