親と子の関係/炭本 樹宏
 
 
 産声をあげた その日のことは覚えてないけど
 おそらく 親は感激していたのだろう
 母は何度も僕の手足の数を数え
 十本づつあることを確めていたらしい

 月日が経ち理想の世界から遠ざかるにつれ
 親と子の間の溝は深まって感謝の心をわすれ
 お互いの足りないところを責め合った

 大人になり世間にもまれ砂を噛むよな生活で
 幼き頃に恵まれていたことを初めて知らされる
 親の歳に近づくに従って親のありがたみを思い知る

 僕の親は偉大だった 
 いまさら戻らない過去にこだわってもしかたないけど
 この後の人生の中で親に孝行していかなければと思う



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