ひとつの島/まどろむ海月
青い大海原に浮かぶ
ひとつの島であることは さびしい
酷暑の夏も 厳寒の冬も
狂瀾怒涛の嵐のさなか
雷鳴と大波に打たれ大風に曝されても 独り
降りやまぬ雨の中でも 立ち込める濃霧の中でも
月も星も見えぬ 深い深い闇の中でも 独り
秋の空を渡り鳥たちが 彼方に向かって飛び去っていくときも
雪が降りしきり みわたすかぎりの暗い海面に
音もなく ただただ 消え続けてゆく…
その雪の中にも 独り 残されて
けれども 最もつらく さびしいのは
茜色の夕焼けが大空と海面を彩るとき
澄み渡った夜空を 片雲が流れ
月と星たちが
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