十月はたそがれの国/クリ
 

十月に 僕が生まれ 君が生まれた
君と僕は とても似ていた
同じにおいがする と 誰もが笑った
抱き締めるだけで 泣きそうになった よ

過ごせなかった時間を寝物語に
繰り返し現れる主題を小言に
そうしたら 君は いきなりキスした
思いがけない君に 翻弄される僕を
クールなもう一人の僕が 見ていた
「思いがけないのは 貴いよ」と 僕が思った

唐突さに安寧し続けたら
思いがけず「さよなら」を
喰らわされるはめに なった

先の読める成り行きは
唾棄せずにはいられない から
完敗だったよ

凍えている君を暖めたくて
時代遅れの寝具を買ったよ
とてもゆっくりと黄昏れて いく



         Kuri, Kipple : 2005.10.13
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