揺れない時間/
望月 ゆき
こそが日常なのだと
ずっと、思いこんでいた
窓ガラスの向こうで
むしろ わたしは
レールそのものだった
横たわるわたしの
うつぶせの背中を
5分おきに
知らない誰かの列車が通過してゆく
それこそが
たしかな日常だと知っても
明かりの消えた窓の外
最終列車を見送ると
わたしは
朝の方向だけを、念入りに確認して
ひととき
からだを揺らすことを忘れて 眠りにつく
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