「マザーグースのうた」から/まどろむ海月
 
の意味
についての複雑な問題を最初から越えて、私に深い示唆を与える。

 「ぼく」がつきを見ることを通して「つき」は存在する。とすると
「ぼく」の存在もまた「ぼく」をみる他者によって可能になっている
はずだ。世界がかけがえもなく美しいとき、それを成り立たせている
我々の生命もまたかけがえがない。われわれのかけがえのなさが守ら
れるためには、世界のかけがえのなさも守られなければならない。驚
くほど深い智慧が、こんなにもやさしい表現の中にこめられている。
 世界を、他者を、愛することは、自己を愛することなのだ。

 われわれが、このような他者のかけがえのなさを気
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