「マザーグースのうた」から/まどろむ海月
 
ぼくがつきをみると
   つきもぼくをみる
  かみさまつきをおまもりください
    かみさまぼくをおまもりください
                       (谷川俊太郎 訳)

 「一人の人間の命は、地球より思い。」という言葉もあるのに、か
けがえのない人の魂を扱う職業でありながら、人間の価値を常に相対
化させる慌ただしくも恐ろしい競争社会の中で、ついつい「自己」や
「他者」や「世界」の存在意義を見失いそうになるとき、「自己」の
本来性を取り戻させてくれる祈りにも似た救いの詩が、私にとっては
上記の詩である。このまことに平易で心優しい詩は、その本来の意
[次のページ]
戻る   Point(6)