ガラス、心/
 
くもっていく
息をすればするほど
生きれば生きるほど
くもっていく

もう見えない
それが外か内かわからないけれど
気にしても仕方がない
もう見えない


途方にくれていたら
おせっかいが現れて
ごしごし ごしごし
荒っぽい音を響かせて去って行った

一瞬だけ
汚れても透明な窓から
古びた町並みが見えて
旧友が私を見ていた

そしてすぐに
くもっていく
もう見えない


無理矢理に磨いてもらわなくとも
あなたがサッとひと拭きすれば
すぐに視界は晴れるだろうに
あなたがそれを願うなら
くもることなどないだろうに

誰かの声が聞こえたけれど
私にはその心が見えなかった

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