ファウスト(序〜誘惑)/ポロリ
 
    0-序

細分された区画
行き届いた運河
過剰も不可もない
理性に支配され町
――コモンウェルスオブリーズン

知恵なき者は畑を耕し
力なき者は子の世話をする
そして、今日も理性の研磨
知恵ある学徒はさえずりあう

「人とは何か」
「寝て喰うだけが取り柄なら獣と同じ、その一生」

ここに男が一人いる
眉間に深い皺を寄せ
叡智に年を吸い取られ
掴んだ真理に愕然と
捨てるかどうかもてあます

「一羽の雀が落ちるのも神の摂理」

真の理性の輝きよ
生まれる時には、みな泣き叫ぶ
阿呆ぞろいの舞台上、やにわに出された悲しさに

頬を伝い落ちる涙
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