少女と云う名の影に捧ぐ/菊月 燦
 
何もかも投げ捨てて

荷物もほとんど持たず

「それでは、」もそこそこに

少女は家を飛び出しました。



そんな本日

あたしは生まれ変わりました

眩いばかりのバラを背負って

とげに刺さるのもいとわず。



少女は走ります

夕陽が落ちていきます

影がのびてゆきます

影はあたしです。



少女は笑います

薔薇色の頬をもった美しい少女

少女は泣きます

自らの影に、






"あたし"を看てしまったからです。


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