式日/簑田伶子
 
目をさますと
雪のように朝が降っていて

やさしい手順で
呼吸をおくる
あなたは

まだ
夢の体温で



きのう

よそゆきの服がでてくる詩を
読みました

愛とよばれる欺瞞
愛とよばれる固執
愛とよばれる偽善

それらをすり抜ける

あなたの心臓の、おと



カーテンをあける自由には
もう 興味ありません

気のせいみたいに
あたたかな部屋

まだ
夢の体温でねむる

世界でいちばん、ただしい 手





あなたを
愛しています



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