時刻通り/A道化
雨上がりが
夕暮れに間に合ってしまい
その為に見てしまうもの、を
見ていました
結局は
全て冷えゆくというのに
明るみに出てしまったショベルカー、の関節
轟き続ける工場からたちのぼる終業サイレン、の空転、の空転
東の冬から断続的に凝固した鴉、のひび割れ
嗚呼、諦めの悪い光に掻き乱された輪郭たち
結局は冷え消えるものだというのに
一瞬、だけ
夕暮れ
そのあとは、時刻通りに
諦めたように飢えゆく視界でした
わたしは、損なわれ続ける視力でした
わたし、一歩ごとに
枯葉をアスファルトをわたしを踏み外し
辛うじて感知できるのは
必要以上に赤いブレーキランプ、の綻び
その跡と、その跡と、その跡
それだけ
雨上がりが
夕暮れに間に合ってしまい
その為に、夜には
嗚呼、一層荒々しく、冬の骨が露呈するのでした
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