ただの独白。誰にも読まれなくて構わない。/あさみ
 
なくて、ある日その感情のままSに酷いことを言ってしまった。
「私、Sみたいな八方美人、大嫌い。」
 何を考えていたのか、あの頃の自分は。あの日の言葉を、いや、あの日の自分自身を消し去ってしまいたい。できるものなら。せめて心の中に閉まっておけよ、当時の自分。
 言葉を発した瞬間、私はSの顔から目を反らした。愚者なりに罪悪感を感じていた。しかし「目ぇ反らしたら負けや」という意味の解らない心の呟きと共に顔をあげると、私を真っ直ぐに見据えたSと目が合った。
 彼女は笑っていた。
 いつも幸せそうだった笑顔はそこにはなかった。
 友達と大口で笑い転げていた彼女はそこにはいなかった。
 Sはただ
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