光と影の世界で/
 

こんな場所で 静かに
息をするのを止めたのだろう
奥深く湿った 黒の世界

人影が一瞬
何かを惜しむように
浮かび上がった気がした



8回目の朝
入り口が 光が
今までより遠く見えた
初めて自覚した恐怖
いけない
ここにいては いけない

今は出口になった
白の世界へ
戻った 歩いた
古い荷物は洞窟に置き去り
外へ


太陽はやはり眩しすぎた
何も変わってはいない
一瞬の衝動 戻りたい 逃げたい
でもそれも恐ろしい
どうしようもなくなり 目を閉じた

そこに
透明な それでいて燃えるような
光が生まれた
温かかった 
それは怖くもあったけれど
心地よかった 優しい暗闇よりも

まぶたを通して感じた
白の世界にしかない
優しさの存在

空の上 小鳥が
歌を歌う
眩しさを
歌う

一度だけ洞窟を振り返り
今 一歩踏み出す 森を抜ける道へ
存在も不確かな 出口へ

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