河童の屁?3 (宵待ちの月)/がんさん
 
降ったの。」

彼女の顔から血の気が失せると、

ぞっとするほどの無表情になった。

そのとき、一陣の風が僕の体を包んで流れたんだ。

二、三度身震いして我に返ると、

そこに、少女の姿はもうなかった。

腰掛けていた縁石の脇に、

ほうずきの実が、ぽつんと一つ転がっていた。



そういえば、あの時、

すっかり灯を落としてしまった祭り会場の天高くに、

宵待ちの月が懸かっていたっけ。

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