河童の屁?3 (宵待ちの月)/がんさん
マズだよ。」
僕は、大名淵の底に潜っている自分を、こっそり思い描いた。
水深が5メートルもある淵底は、
やっぱり、深閑としていて、薄暗かった。
遠くの水面には、明るい外界が反射していて、
その真ん中に、彼女のおかっぱ頭が、覗いていた。
(待っていろよ!
僕が、兄さんたちよりも早く大ナマズをしとめてやる。)
「ありがとう。」そのとき、少女は、小さな声で確かにそう言った。
僕は、心を見透かされたんじゃないかと、ちょっとあわてた。
祭りは盛りを越えたみたいで、
辺りには弛緩した空気が漂い始めていた。
僕は、急に心配に
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