火事の日の手記2/炭本 樹宏
 
。数回、検証の度によばれて、朝どこでタバコを吸って、灰皿はどのへんに置いてあったかなどを訊かれ、僕の使っていた灰皿が原型のまま残っていたのが発見された。
尋問の時に話していたとおりの灰皿だ。
 検証の結果、火が出たのはその灰皿の置かれていた床の場所との結論。隊員と話しているうちに朝、出勤する時の事を少しづつ思い出してきた。
 朝食のあと、早めに出ようと、最期の一服だと思ってタバコを吸っていた時レンタルビデオの会員証を発行してもらうため、パスポートが入っていろポーチを引き出しからだした。なぜ、パスポートかと言うと財布を落として免許証がなかったからだ。そのときに灰皿の溝に置いたタバコのことを忘れてしまっていた。はっきりと消した記憶はない。

 その朝、灰皿の置いてた場所、座っていた座椅子、クッション・・・。現場検証をしているうちに、だんだん火が燃えたっていくイメージが明らかになってくる。
 あぁ、なんてことになってしまったんだ。火事を起こしたのは僕なんだ・・・。





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