火事の日の手記1/炭本 樹宏
ってもらうように頼んだ。
先輩から着信があって、電話にでると、あわただしさが伝わってきた。先輩が言うには隣りのTさんの家には燃え移ってないとのことだが、まだ、火の手は上がってると言う。父にも電話した。その時点でわかっている範囲のことを話した。
とにかく、バイクをとばし急いで帰った。家に着く少し前に妹から電話があって、怒鳴り散らされた。「なにやってんねんな、アンタ!」
そして、家に着いた。
すごい人だかりができていて、誰が誰だかわからない。火の手は消えていた。家の様子を見る間もなく、警察に尋問された。車の中に座らされて、名前、生年月日、家族構成、吸ってるタバコの銘柄、朝
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