命とは・・・/がんさん
 
天空に映し出された。

清濁も、良否も、正邪も、併せ持つ二なりの顔。

割り振られた時の重みに耐え忍んだ

けっきょく、在るがままの顔。



今、骨壷の蓋は開けられ、

生前、オレと繋がりを持った人々の手が、

思い思いの触手を伸ばしてオレの骨を掴む。

彼らの掌の中で、

骨は、シャリシャリ、シャリシャリと、

尊いかそけき呟きをあげる。

あぁ、終いにたったこれっぱかりの塊になるなんて、

命とは、なんて芳しいものなんだろう。

そうは思わないか?



骨片は、ひらひらと

桜の花びらのように舞いながら

墓の暗渠へと吸い込まれた。

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