忘れてた/一代 歩
 
あんなに大切にしていたものを

広すぎる空
剥き出しの月

甘いにおい

常に私の心は半分で
両方を行ったり来たり
どちらにも染まらず染まれず

今になってようやく
手放したことに気づく


あの頃のどっちつかずよりも
今がいいとは言い切れない


このさみしさも含めて
欲張りだった私

時間の経過とともに
てのひらからするすると零れ落ちていったもの

さよならが言えない




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