平熱の朝/はな
あなたはよく熱を出して
自分できづかないでいるので
いつも僕は
こっそりとあなたのひたいをひやす
あなたがきづかないままで
また
まっしろな
あのベランダに 立てるように
{引用=ねむっているあなたのひたいの汗を
僕はそっと
てのひらでぬぐった
浅い呼吸のすきまから
わずかにもれる あなたの声が
僕にのしかかってきて
ももいろのくちびるをゆっくりと塞ぐ
朝に
体を起こし
たおるにくるまったまま
僕の作った朝食を しずかにたべている
そろそろしごとにいかなきゃ
と言うあなたを
僕はすこしだけ止めるけれど
ゆるやかな糸をぴいんと張っ
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