ワルツ/suzu
生まれたときの高熱でわたしは光を奪われ
音がわたしの全てとなった
新生児室
こどもたちは
わたしと同じで
暗闇が怖いから
泣いてるいるの?
鳴り止まぬ大合奏
三歳
両親が買ってくれた
くまのぬいぐるみ
毛がやわらかくて気持ちいい
微笑みの調べ
五歳
弟が生まれた
わたしはお姉ちゃん
光を失わずにすんだ弟
弟の泣き声
かかりっきりの両親
わたしはお姉ちゃん
そっと重なる泣き声
八歳
わたしは普通の小学校に通っていた
ある時
いきなり頭をぶたれた
誰がやったのか分からない
遠い笑い声
九歳
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