今君にキスしたかった/りぃ
 
 不思議な気持ちで目が覚める
 隣で眠る猫を押しどけて
 その向こうの背中に手を添える
 上下する体の動きで分かる
 定期的な呼吸は
 深い眠り、夢の果てで出逢う為であることを
 私は密かに知っていた

 白いシーツが体を滑り落ちる
 かまわずに顔を覗き込んで
 その頬に唇を寄せる
 
 「ん、何」
 
 鼻にかかる甘い声が心地良いから 
 私はただ笑って
 朝のメロディラインを歌いながら
 ベッドからすりぬけて振り返る

 今、君にキスしたかったの。

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