タイの花、花花/狸亭
首都 クルンテープの花
観光地 プーケット島の花
南国 スラータニの花
国境の街 ハジャイの花。
咲き乱れる花、花花。
「花の命は短くて、」(林芙美子の)
「花よ。
どんな格好をしていたって
花よ。」(暮尾淳の)
「なあお前
だから男はすりへってさあ」(原満三寿の)
詩に歌われる花、花花。
火炎樹にもえる強いオレンジ色
緑のしげみからはみだす南国の色
家家の庭の玄関の石畳に咲くピンク色
蘭の花。あかるすぎる日光にかがやく花の色色。
ぼくは花に抱かれ 花花を抱き
花のかおりにむせび 花に飽き
花に疲れ すりへっても 七転八起
どんな格好していても 花が好き。
生きかわり 死にかわり つづいている
シャム湾のしずかな波のように いつまでも
力づよく ふかい命の底から わいてくる
国境をこえて 目の前にある花色衣。
金色の、極彩色の、いかにも楽天的なタイの仏像はいつも花花にかこまれている。
(押韻定型詩の試み 27)
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