霧の様な死あるいはナルシシズムについて/立原道造を読む/渡邉建志
くして、すでに立原は死んでいた(名声をすでに打ち立てて)。僕は立原よりすでに数ヶ月長生きしていた。僕はいったい何をしているんだろうと思った。ようやく、立原を読もう、と思った。読み終わったら、記念館に入ってみよう、と思った。それから池袋で立原詩集を買い、地元への電車の中で、ゆっくりと読み始めた。そして今日、鞍馬温泉のなかで読み終えたのだった。
■手製詩集「日曜日」より 唄 (全文)
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裸の小鳥と月あかり
郵便切手とうろこ雲
引出しの中にかたつむり
影の上にはふうりんさう
太陽と彼の帆前船
黒ん坊と彼の洋燈
昔の絵の中に薔薇の花
僕は ひとりで
夜
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