陽のあたる部屋/野島せりか
陽は傾き 窓辺にからみつくアイビー
逆光の影 開け放った窓
私のため息があなたに届くころ
西の空はしずかに今年の終わりを告げる
もうニ度と会いたくありません
無理して告げる機会もなかった
あなたのことは
何事もなかったようなどっちつかずの存在
つまり忘れたいことは
忘れるまで密かに何度も思い出しては
次々と襲ってくる虚しさと
一人で闘えばいいだけの話
流れる波に漂うのも悪くはないかもしれない
陽のあたる部屋
疲れ目の奥がじんと痛くなって
まるで泣き出す絶好の機会を
つかみ損ねたようだった
窓辺では
今年最後の寒風が
カーテンを揺らした
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