花時計/るるりら
 
りのする部屋の片隅で 絹をまとった少女をピアノフォルテ
が大人にかえてゆくのを感じながら

ある十時

植物のように生きることを夢想する。赤い口紅が 剥がれ落ち 内側から 高揚したほんものの紅がにじみでてゆくの
に当惑しながら

ある十一時

植物のように生きることを夢想する。瞼をとじれば どんな遠い人の心とも和することのできる そんな なにもない
自分に もどれることを祈りながら

ある十二時

恋人同士が同じ夢をみた。ふたりの根が 睦まじく絡み合い愛し合う そんな夢を見た。
植物のように活ける二人が咲き誇る夢だった。ある日、ふたりは植物ののように活きた。
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