花時計/るるりら
しか咲かないの」そういって 花屋の店員に差し出した老婦人の皺のやさしさを思いながら
ある四時
植物のように生きることを夢想する。工場地帯の林立する社宅の四角い窓の下で おしろいばなの別名がFour-oclock
と、知った小学生。4時に咲く花と図鑑に教えられても 塾帰りには4時に家には塾の明かりの下。それでも種子を
取り ケサランパサランの寝床をこしらえながら
ある五時
植物のように生きることを夢想する。新築の窓辺で いただきもののアイランサスという南国の植物が 日のある間だ
け葉を広げて、夕方になると葉を閉じてしまう様子を眺めながら
ある六
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