夜が生まれる/セキラボ!
 


小学校の帰り道に
沈みきれない太陽がぽつうん
首に掛けるゴムヒモの汗
それは
犬がどろんとしていた路地裏でのこと

赤い屋根の家
ベランダでは太陽を
無口な少女がじっと見ています

頬を張って口笛を溜め込んで放とうとしていました


ああ、お母さん


太陽がじりじりとしています
少女の影法師が伸びて


僕は



ぽつうんとそこに立っていました



町外れの煙突の白い煙
カラスの鳴き声
パチンコ屋の電灯が灯り始めます


帰り道がトボトボと音を立てて


僕は歩きながら
無数の言葉をつむいでいました




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