猫とゴミ捨て場/haniwa
夏のごみ捨て場
金網のなかに
積み上げられた袋
その間にさまざまな模様の猫が
五、六匹寝そべっていた
手にもった袋を捨てようとして僕は
猫が食べちゃまずいものが入ってないか
ちょっと考えてしまう
猫達は
僕のことなどどうでもいいみたいに
ごみ捨て場に陣取り
のんきにあくびをする
高すぎる気温が
腐らせる生ゴミの臭いの中で
猫達は自由を気取っていた
君達が食べているのは人間が捨てたゴミだ
あるいは傲慢な情けによる胡散臭いエサか
気まぐれな我々はそのうち保健所を呼ぶだろう
君達のうちの何人かは謂れもなく殺されるだろう
黒い空から夥しい数のゴミが降ってきて
それは家を焼き人を焼き人生を壊し未来を消した
君達はそれを知っているのか
そんなことを思いながらゴミ袋を投げつける僕を
重い足取りで会社に向かう僕を
働いて金をもらってまたゴミを出す僕を
猫達は見ていた
ゴミ捨て場の中から
猫達は見ていた
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