ここから/蒼木りん
 
わたしは
ここから地上を見ている
大気で霞む昼にも
誰かが見つけてくれる
よく見れば味気ない天体であるのに
そんなに想うのは
わたしが最後の衛星だから

振り返らない
嘘の顔
嘘の輝き
それを
美しいと言う

近づくことも
遠ざかることもできない
ここから地上を見ているだけの
それは業
魔力でもなく
護りでもなく
わたしはここから地上を見ているだけ




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