初期の警告/吉岡孝次
空が大地の蔭に入るゴールデンアワーに
むやみと明るい部屋で本を読む小心を
切り換えてみた。
新しい生き方はドアの前で踵を返したらしく
ディスプレイが
人目に触れることのないスクリプトをのうのうと
薄暗い部屋にさらけ出していた。
きみの人生はきみのもの
しかし重荷のあるほうが遠くまで行ける、と
いつしか軽くなっていた背中がぼやいているような気がする。
だから言っただろう、とは父祖の後知恵。
ただ僕自身は違う戒律を幼年期より
Vectorの誘うまま用意はしていたはずだった。
そうは言ってもありのままはありのまま、
啄木ばりにローマ字で格好つけた現在を綴っている。
空想科学の嘘をシフトキーに 見破り
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