放課後人ら/人間
飛び込み台の上に立つ女
もちろん服は着ている
回送の飛行船が夕方のまぶたをなぞれば
陽は瞑ってシジミ売り屋が喘ぐ
学生は皆帰ってしまって
校庭には
スクールバンド部のトランペットと
応援団の三三七拍子が相俟ってポリリズム
不協和音のあっけらかんな舞台が仕掛けられる
「
くたびれた主婦が
くたびれた夫の為に
くたびれたマーボーナスを作ろうと
くたびれた帯で赤子を背負って
くたびれた自転車で
くたびれたスーパーへ向かう
その途中で
自意識過剰な男に
捕まって無理矢理
くたびれるまで犯されたい
」
等と書きかけてシタリ顔の文学部員は
4階の教室から
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