ふたつのカゴ/
知
さあカゴに何を入れましょうか。
歩き慣れた買い物道は私を安心させる
色鮮やかなフルーツと人なつこい売り子さんの笑顔
古くて腕あたりが柔らかなカゴ 私が育ってきた家庭
新しくて刺がまだ痛い光色のカゴ 私がこれから作る家庭
おじさん、そこのパッションフルーツくださいな。
ありがとう。
私は受け取るなりそれを素手で割り
ひとつずつをカゴの真ん中に丁寧に寝かせる
市場中に香りが立ちのぼり
私はおめでとうおめでとうと喝采を受けた
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