夏と秋のさかいめは、きっとこんな夕暮れ/ベンジャミン
幼い頃に覚えた童謡を口ずさんでみれば
なぜか悲しい気持ちがわいてきて
もしかしたら
うたの歌詞が悲しいのかもしれないと
確かめるように繰り返してしまう
夏と秋のさかいめは
きっとこんな夕暮れ
思い出の輪郭をなぞるように暮れてゆく
ありふれた今日の終わりに
ふとこみあげてきた淋しさが
君をオレンジ色に染めてゆく
夏と秋のさかいめは
きっとこんな夕暮れ
駅の近くの踏み切りで
電車の突風に吹き上げられれば
遠のいてしまいそうな意識を唇で噛み締めて
足元の視線を引き上げようとする
夏と秋のさかいめは
きっとこんな夕暮れ
商店街をかけてゆく風には
まだ夏の香りが混ざっていたから
少しだけ追いかけてみたくなったけれど
明日に向かうためには
前に進まなければいけないと
夏に背を向けて
歩き出そうと思えるのも
そう
きっとこんな夕暮れ
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