首/佐藤伊織
 
私は首が伸びすぎて
身動きすらとれやしない

電車の壁から穴をあけて首を出している。
風を受けるための帽子を被り。

猫はいつから電車に乗れるようになったのだ。
不遜な態度で時計を眺めている。

晴れる様子もない暗転した空を横切り
レールは猫の背中をなぞっていく。

私は邪魔な首を切り落とすために
ノコギリと血止めの薬を買った。
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