シーツ、姿見、あした。/コトリ
 
遠目に
窓越しの木々が痙攣し
雨の訪れを知る

ベランダには
洗い立てのシーツが
物干しいっぱい広がって
百万都市のネオンからかくれるように
わたしたちは居た
だれかの描いた
まっすぐな木を装って


長い夢の正体は、おおきなおおきな姿見だったとさ



おばあちゃん 笑えないわ、そのお伽話



目をつむりつづけてさえいられたら
スポーツマンのヒーローと
クラスのあこがれ優等生
手と手が触れることも
世界にはありえなかったというのに



互いを欺き
互いを信じ
互いにあこがれ
恋をした
姿見の
合わせ鏡の
ナルシズム
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