落陽の標本箱/青色銀河団
に導きます。冬の意味を問うてはいけません。都会に眠る者の羽はいつだって濡れていますから。食物をたべると静かに血を流します。その傷口は古く細くどこまでも続いています。
雨の日には小鳥の原石を探そう。いつしか落陽が溢れてわれわれの生活がずぶ濡れになるとき、羊水の底は人間の岸堤です。海は叫ぶ石灰の書物です。表象の夏が過ぎても、小さな卵は、まだ月の光を浴びているでしょう。
ささやかな恐怖だけが生きる糧なのです。朝のように冷たい水脈を泳ぐと、うれしそうに骨は響きました。
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