児童画の正体/umineko
 
村君は生真面目に自分の服を黄緑で塗っていた

ボクは、といえば
ディティールが気になって
地下探検モグラカーを
ていねいに描き過ぎて
全体に間延びした
気の抜けた絵になっていくすなわち

描きたいことなんてほんとうはなかった
ただ描くという作業に熱中していただけで
たぶん尊いのは彼であってボクじゃない
そんなこと

校舎は夕暮れて
山あいの木々が色を失う
描きたいことがあるわけじゃない

ただ
ボクは一心に

 

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