とべ/みもる
茶碗についた
食べ残された米粒のように
一人になって
通り雨が残していった
淡い湿気にたたずむカエルになる
きっと
この悩みが晴れようと晴れまいと
君が居ようと居まいと
何も変わらないんだろう
いつでも求められるのは
とぶか
とばないか さ
欲しいと思ったものは
手を伸ばせば届く
数センチ先にある
無神経に走り回る
文明開化の鉄箱を
軽いフットワークでなぎ払え
無意味に早足の
現代病の巨人どもの
足元をすり抜けろ
その先にある
輝くハエを
捕らえるためだけに
とべ
忍び寄る影も
やっぱり必要不可欠な君も
めんどうだから
全部一斉に背負っちゃって
とべ
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