背徳/落合朱美
 
私という曲線をなぞる
薄っぺらな影が
このまま溶けてしまわないように

望んではいけない
夜を越えてしまった

私ははしたない女ではなかったかしら
未練がましい女ではなかったかしら

ふりかえるという作業は
ときおり苦痛をともなうもの

白みを帯びた朝の気配に
やがてなにもかもが
明るみに出るのを恐れて縮こまる

紫煙は私を覆い隠すにはほど遠く
カーテン越しの木洩れ陽に
ただ絡まっているだけで
誰も私を救ってはくれなかった

指先が

きのうの優しい闇を想い出す






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